ジュエリーブログ

久々ですが、今回はコマーシャル

この25日に店頭に出ますが、また本を出しました。買ってください。
アルビオンアートの大コレクションを解説した本で、これまでの本では一番の凄い本です。お値段も結構なものですが、税込4000円、それだけの価値はありますよ。写真もすごいです。これ、表紙です。

ジュエリーの神髄 ~アルビオンアート至高の名品コレクション~

2024年4月19日

不思議な人をご紹介します

 最近知り合ったのですが、宝石業界の人ではないのに、業界人の出来ないことをホイホイとやっている、不思議な人をご紹介します。

 名前は新田真之介さん、仕事は弁護士、なんと法科大学院修了後1回目で弁護士試験に合格しちゃうと言う秀才、不思議なことに宝石、ジュエリーが大好きで、このほどジュエリーコーディネーターの一級に合格した。まあ、弁護士試験に一度で受かるほどの知能ですから、あんなものは何でもないでしょう。

 彼がさらに面白いのは、奥様がジュエリー関連の本を専門にする古書店をネットで展開されている事、もちろん、彼も手を貸しているでしょう。私は、もうこの業界にはうんざりしていますので、所持していたかなりな量の専門書を処分し始めています。私の著書も、絶版のものを含めて、ほとんど彼に渡しました。

 ベリルブックス(ウェブサイト)
 https://berylbooks425.square.site/

 Instagram
 https://www.instagram.com/beryl_books 

 これが彼と奥様の古書店、緑柱古書堂のアドレスです。業界人に面白い人は皆無に近いのに、業界の外からおもしろい人が出てくる、変な業界ですね。まあ、一見の価値はありますよ。お勧めします。

2024年2月11日

ほんとうに勉強が必要なのは、誰でしょうか???

ほんとうに勉強が必要なのは、誰でしょうか???

 この寝言を覗かれる方の多くは、恐らく宝石業界のかたが過半だと思いますので、言う必要もないと思うのですが、業界の中には、従業員のレベルを上げることで、販売力がついて、売り上げも増えるだろうと言う思いで作られたコーディネーター制度と言うのがあります。私も、十数年も前のことですが、テキストの一部を書いたような記憶があります。三級から一級まで、大変なテストがあり、知識がいっぱい詰まっています。ですが、私は長い間、この制度に疑問を抱いてきました。

 もちろん、販売にたずさわる人が、商品に付いての正しい知識をもつことは大事です。真珠とダイヤモンドをいっしょに入れてはだめですよ、ダイヤモンドが傷つきますから、などとお店で言われては困るし、売れなくなる、だから現場の販売員が基本的な知識を習得する場としてのこの制度を不要だと言っているのではない。ただ、これだけがジュエリーの販売に役立つ、お店が売れるようになる唯一の方策だと、やたらともち上げることはやめて欲しい、それ以外に、業界の必要な勉強はあるし、勉強すべき人もいると言うことを言いたいのです。

 ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、かって、私は当時としては日本で一番大きな宝石店の販売と商品開発のトップをつとめていました。直接の部下だけでも,ピーク時には600人ほどはいたと思います。有名なGIAのGGと呼ばれる宝石学を習得した社員だけでも50−60人はいました。ところが、このGGをもつことと販売力をもつことは、まったく関係ないことがわかりました。有能なセールマンで、販売力がありGGでもあった人物は、二人だけ、実際の販売の場で、知識を売り回すことは、お客の多数である女性にはとっては、興味もないし、いらんお喋りに過ぎないのです。あのお店でトップの販売員は、寧ろ口下手、寡黙な人物がほとんどで、それでいてお客には信用される、そうした人物でした。その理由については、今でも良くわかりません。コーディネーターについても、私が使った事のある人物の範囲でいえば、級が上がる人ほど、実戦の場では役にたたない、つまりは売れないのです。知識は必要ですが、それでものが売れるというわけではないのです。

 もちろん、こうした事は必ずしも、本人たちの責任ではない、お店に売れない商品が並んでいては、いくら勉強しても売れませんよ。では、お店の商品そろえをしているのは誰でしょうか。コーディネーター制度を受験している社員ではないですよね、社長ですよ、社員のトップですよ。このオッサンかオバハンが何処から持って来る、女性社員がみても、自分でも買いたくないジュエリーが並んでいて、それをお客に勧めても自信は持てませんよね。これがいま、小売の現場で起きていることではないのでしょうか??? 自たちは反省せずに、社員を叩けば売れるようになると信じているのでは。

 結論を言いましょう、コーディネーター制度は商品知識をふやすという意味で役には立ちます、しかし、業界全体としてみれば、教育が必要なのは、経営者達のレベルアップじゃないでしょうか???? どうでしょうか、プレジデントスタデイコースでも作ってみては??? そこを終了した人は、店頭に社長がオベンキョーしましたよという看板を与えては、みんな落第したら困りますが。その方が、長い意味では売り上げ増に結び付くと思うのですが。
 

2024年1月24日

順番が逆になりませんかね????

 長い間、ジュエリーの小売に携わっていますと、よくこんなことを言われます。昨日、何とかなんとかのお店で、素晴らしいジャケットをみつけたのよ、これに合うジュエリー、なんかない??というお訊ねです。もちろん、売るのが商売ですから、此れ如何ですかと言うのは、いつもありますが、それをお客様が気にいるとは限らない。日本の女性の皆様、特に中年でしかるべき資産があり、お金に不自由されないクラスの女性がたは、衣服とかジュエリーとかの、ファッショングッズのお買い物に関しては、実にうるさいというか、目が肥えているというか、簡単には収まらないのは、ご存知の通りです。

 まあ、それを何とかごまかしつつ、生きてきたわけですが、こうしたことが起きて、何も気に入った物が無く、お客さまがお帰りになった後でつくづく思うのですが、どうしてもコレが逆にならないのだろうか、と。

 つまりですね、お洋服は、恐らく価格でいえば十万円台でしょう、もっと高いもの買うのよとおっしゃる方は、まあ、この話は忘れて下さい。それほどの洋服に合うジュエリーとなると、百万円台か、それには近いかもしれない。少なくとも、ジュエリーのほうが安いといことは、先ず、ないでしょう。

 これが逆になりませんか、というのがわたしの望みなのです。つまりです、まずはみごとなジュエリーを見つけて買って、それには合う衣服を探す、そして買うというのが、みごとなコーディネートだと言える可能性が高いと思うのですが。

 この話を、さる有名な女性誌の編集者にしましたところ、こういわれました。山口さん、女はね、それほど論理的じゃないのよ、いいなと思ったらお財布が開いているのよ、良いなと思ったら、飛び付くの、おかげでわたしバツ二なのよと、とんでもない話になりました。第一、と彼女は言います、ワッと飛びつきたくなるジュエリーなんて、お店にあるの??? 見た事ないよ、お洋服なら、しょっちゅうあるけど、と。まあ、なんとも返す言葉もありませんが、本当にこの買う順番が逆になるジュエリーが増えませんかね???? だめかなー。

2024年1月24日

3回目の続きです。

 日本の宝石市場で百貨店の売上は、恐らく市場の12−14%程度を占めると思いますが、コロナ以降、海外ブランドがのさばっていますのでもう少し高いかもしれません。一応は塊として一つの市場と見ていいと思います。

 いま百貨店は、小売業として株式欄にも載っていますし、小売り統計にも百貨店売上が使われています。これはあくまで私見ですが、わたしはいまの百貨店は小売ではない、むしろ不動産業として扱われるべきだと思っています。すくなくとも、宝石売り場に関して言えば、間違い無く、不動産業、つまり場所貸し業でしかないと信じています。どのお店でもほぼ同じですが、いまお店の店頭にれいれいしく並んでいるジュエリーのなかで、お店の在庫であるのは、ほぼゼロだと思います。それを売っている、店員に見える人も、ほとんどは外部の人間で、百貨店の社員である人は居ないと思います。ほとんどは問屋と呼ばれる企業のもので、お店にもよりますが、少ないところで数社、大きなお店になると十社以上の問屋が百貨店の宝石売り場を構成して居ます。では、百貨店の人間は何をしているか、外商というか日本独自の販売組織がありますから、小売店よりは、少しは販売努力をしている、それ以外は良く言えば全体を統括しているとでも言うのでしょうか、まあ、ほとんど役に立つことはない。これは百貨店の企業としての人事制度の問題点だと思うのですが、特定の事にプロになると出世しないらしい、少なくとも宝石のプロだと思えるように人間は、少しはいるのですが、いつのまにかどこかに居なくなる。旧態依然の問屋に頼りきりで、百貨店として、ジュエリーのプロを育てようという気概や計画は皆無です。小売店よりは少しはましだと思うのですが、ここから新しいジュエリーのプロが生まれてくるとは思えません。プロ不在、それが百貨店です。

 この現状から見て、シロート集団が宝石業界に隙間ありと思うのは、当たり前のこと、それが不況なはずの業界にドヤドヤと、やれブライダル専門店とか、テレビ販売だとか、買取り屋だとかが登場する理由ではないでしょうか。お客様の方も変化しています。特定の店に忠誠を誓うなどということは、期待できません。面白くなければどんどん離れて行きます。これを防止して、昔の繁栄を取りもどすことは、売り手の変化なしには出来ないと思うのですが、まあ、ほとんど期待できない。あと5年、10年で、私はもういませんが、ジュエリーを買うのは、スマホ片手にやる事という時代がこないことを願っています。

2024年1月18日

続きです

 さて業界人が揃って、売れない、不況だ、やめたいと喚いている業界に、どうしてコレほどに、業界外の人間がドヤドヤと参入してくるのでしょうか。この件については、わたしは数年も前から、理由ははっきりしている、それは最末端の小売を担当する小売店或いは百貨店の怠慢が最大の理由だと言って、顰蹙を買っています。怒られても再度言いますが、実際にはお客に接する小売が今のような有り様なら、外部からの参入や新しい売り方が止まることはないと思っています。あと五年もしたら、宝石小売店は半減し、日本のジュエリー販売は、半分以上が資金はあるがなにも知らないシロートの集団が仕切るという事になるとおもいます。

 小売に携わる人がだめな理由は、はっきりしています。ジュエリーという自分が扱うモノに対して、関心も、興味も、愛情もない、もちろん知識もない、それがお客に伝わるからです。お客様というものは、特にジュエリー市場の中心となる、あるレベル以上の女性の方々は、非常に敏感なのですよ。売り手が、つまりはお店が勧めるジュエリーは、その店の主人が、ほんとうに好きで、気に入っていて、本心から勧めているのか、単に口先だけで勧めているのかが、直ぐにピンと感じとるのですよ。そんな店で、買物をするわけはない。

 いま、日本には政令都市と呼ばれる大き目な町が十いくつかあります。そうしたら都市ですら、代表として名指し出来る宝石小売店が思い当たらない町がいくつもあります。京都、札幌、博多、小倉、その他もろもろ、わたしの知るかぎりでは、むしろもう少し小さい街に、個性のある店が有ります。富山、行橋、小山、徳島などがそうですが、ほかに少しはあるでしょう。

 人口百万を越す街に、これはと言う宝石小売店が無いと言うのは、明らかに小売業の衰退を示すものです。ましてや、普通の町での自称宝石店を見ると、古いけどしっかりした建物に、時計、眼鏡も扱うところもあり、ジュエリーと言えるのは、ブライダルものと、アクセサリーに近いものが1−2ケース程、それもあきらかに問屋との付き合いで押し付けられたようなものが、若干並ぶだけ、一番多い来客は時計の電池交換、町の若者はまったく寄り付かない。年に一、二回ほどの催事めいたものか、ユーザー展に客を連れて行って、販売するのが販売活動らしきもの、おお、これは俺の町のことかと思われる方も多いでしょう。こんな店を見ていたら、俺のほうはまだマシじゃないかと思う人間が出て来ても、不思議ではない。ブライダル専門店とか、不思議なシロート集団が登場するのは、こうした現状が理由では無いでしょうか。ここで小売店だけじゃなく、百貨店もあるよと言う声が聞こえます。では百貨店の宝石小売売り場についてお話しましょう。

————続く。
 

 

2024年1月17日

お久ぶりでーす

新年あけましておめでとう、と言いたいところですが、あまりに言うことがありませんね。 このところ、このコラム、殆ど登場せず、一部ではあの世に行ったのではと言う意見もあったようですが、まだまだ、憎まれっこ世に憚っております。

昨年は、家庭画報の大連載に取り憑かれており、その他にもジュエリー見聞録有り、グラフの大記事ありで、殆ど忙殺されていました。もちろん、宝石業界に付いても、なにも言いたいことはなく、ただただ呆れ返っていました。

お読みのかたもあると思いますが、この大連載、毎月の4ページ、一年ぶっ通しと言うもので、日本にあるアルビオンアートの大コレクションの中から、持ち主の有川さんとふたりで、テーマ毎に最高のものを選んで写真と解説とを纏めたものです。これに、更に記事を加えたものをまとめて、四月末に単行本として刊行致しますので、是非買ってください。これまで10冊以上本は書いているのですが、この本が最高、もっともお役に立つものだと思います。ここまではわたしのコマーシャル。

さてさて、業界ですが、どうにも不思議なことが起きているようですね。古くからの業界人、つまりは宝石商のみなさんは、寄ると集まると売れないを喚いているようですが、その業界に、ど素人に近い、宝石業界人では無い人たちが、どっと押し掛けているようです。業界新聞の新年号を見ていましたら、いきなり「日本一の宝石商になりたい」と言う女性が登場、ミキモトか和光あたりの女子社員が寝言をいっているのかとおもいましたら、なんと、はじめて見る女性がネット販売で10億円を達成したとか、まあ、なりたいは結構ですが、そんな人が参入してくる業界が、いまどき、世の中にはあるのでしょうか??? すごく繁栄している業界だなと思うと、肝心の業界人は、売れないと思案投首と言うのは、どういうことなのでしょうかね。この人以外にも、高額なジュエリーを専門に扱うという、恐らくは再販ものも含むのでしょうが、大型店舗が、大都市を中心に数社も新しく店を構える、それがすべてこれまで知らない人ばかりというのは、一体、どう考えればいいのでしょうか。

さらには、テレビをつけると、スーパーバイヤーさんとやらが集めたと言うジュエリーが、殆ど24時間売っています、スマホをポチッとすればジュエリーが買える、それがけっこう続いているとなると、買う人が多いのでしょう。これまでの宝石店や百貨店で買わないで、こうした、まあシロウトに近い人が繁盛する、これはなぜなのでしょうか。

—————続く 。

2024年1月16日
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