続きです

 さて業界人が揃って、売れない、不況だ、やめたいと喚いている業界に、どうしてコレほどに、業界外の人間がドヤドヤと参入してくるのでしょうか。この件については、わたしは数年も前から、理由ははっきりしている、それは最末端の小売を担当する小売店或いは百貨店の怠慢が最大の理由だと言って、顰蹙を買っています。怒られても再度言いますが、実際にはお客に接する小売が今のような有り様なら、外部からの参入や新しい売り方が止まることはないと思っています。あと五年もしたら、宝石小売店は半減し、日本のジュエリー販売は、半分以上が資金はあるがなにも知らないシロートの集団が仕切るという事になるとおもいます。

 小売に携わる人がだめな理由は、はっきりしています。ジュエリーという自分が扱うモノに対して、関心も、興味も、愛情もない、もちろん知識もない、それがお客に伝わるからです。お客様というものは、特にジュエリー市場の中心となる、あるレベル以上の女性の方々は、非常に敏感なのですよ。売り手が、つまりはお店が勧めるジュエリーは、その店の主人が、ほんとうに好きで、気に入っていて、本心から勧めているのか、単に口先だけで勧めているのかが、直ぐにピンと感じとるのですよ。そんな店で、買物をするわけはない。

 いま、日本には政令都市と呼ばれる大き目な町が十いくつかあります。そうしたら都市ですら、代表として名指し出来る宝石小売店が思い当たらない町がいくつもあります。京都、札幌、博多、小倉、その他もろもろ、わたしの知るかぎりでは、むしろもう少し小さい街に、個性のある店が有ります。富山、行橋、小山、徳島などがそうですが、ほかに少しはあるでしょう。

 人口百万を越す街に、これはと言う宝石小売店が無いと言うのは、明らかに小売業の衰退を示すものです。ましてや、普通の町での自称宝石店を見ると、古いけどしっかりした建物に、時計、眼鏡も扱うところもあり、ジュエリーと言えるのは、ブライダルものと、アクセサリーに近いものが1−2ケース程、それもあきらかに問屋との付き合いで押し付けられたようなものが、若干並ぶだけ、一番多い来客は時計の電池交換、町の若者はまったく寄り付かない。年に一、二回ほどの催事めいたものか、ユーザー展に客を連れて行って、販売するのが販売活動らしきもの、おお、これは俺の町のことかと思われる方も多いでしょう。こんな店を見ていたら、俺のほうはまだマシじゃないかと思う人間が出て来ても、不思議ではない。ブライダル専門店とか、不思議なシロート集団が登場するのは、こうした現状が理由では無いでしょうか。ここで小売店だけじゃなく、百貨店もあるよと言う声が聞こえます。では百貨店の宝石小売売り場についてお話しましょう。

————続く。
 

 

2024年1月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : Ryo Yamaguchi