もう言うことは無いけど、ちょっと一言———3

誕生石の有り難味みとは???

 最近、ジュエリー関係の話でちょっとしたびっくりしたのが、誕生石の追加の記事ですね。まあ、この誕生石というのは、ギリシャ、ローマ、ヘブライなどともっともらしい起源が付いていたのですが、そもそもそうした言葉の石名が、いったい何を指すのかが不明という代物。今、世界で使われているものは、20世紀になってアメリカで業界が決めたものの、当初の誕生石は、昔の石名に倣ったもので、ダイヤモンドもサファイアも入っておらず、これじゃあ困ると業界が文句を付けて、さらに改変したものです。しかも、今日では、各国、それぞれに違う誕生石を決めています。
 もちろん、日本も日本なりの誕生石を決めてずっとやってきました。しかし、それがお客様に大変にアピールしたかと言えばそうは思えない。いちばん使っても良いと思われる婚約指輪などでも、誕生石を使ったという記憶はほとんどなく、何でもダイヤモンド一辺倒でしたよね。鼻くそみたいな石でも、ダイヤモンドが良いと勧めたのは業界ですよ。
 それが突然、十数個の新しい宝石を誕生石に加えましたと、業界団体が唐突に発表する、それに追従して鑑別鑑定団体が鬼の首でも取ったように、石の解説を加えて、それで誕生石なるものの消費が増えると思えますか。何の説明もない。できるわけありませんよね。これまでの有り難みや、もっともらしい話は何処へいったのでしょうかね。せめてもう少し、デリケートに扱っても良いのではないでしょうか。相変わらずのお客様を愚弄した、業界都合だけで、お客様が動くとは思えませんよ。