日経の連載を終えて

 日経の朝刊、最終ページの美の十選を終えました。非常に注目率の高いページで、新旧の知人からもたくさん連絡がありました。日経のネットにも取り上げられており、好評だったようです。
 あそこに載せた10枚以外にも、まだ20枚位以上、同じような古代の奇抜な作品の資料があるのですが、まあ、それは別の機会にでも書きます。前にも書きましたが、全て私が実際に見たものばかりで、基本の資料は博物館が発行する絵葉書が元になっています。
 純粋のジュエリーは少ないのですが、ともかく、どこの博物館でも感じたことですが、我々の祖先は何を考え、何を求めてこうした作品を作ったのかということが今でもわかりません。素材と技術の面から見れば、全てジュエリーの祖先のような作品で、そこがわかればジュエリーの本質も理解できるのではと思い、資料を集めていたのが役に立ちました。
 印刷が進んで、新聞でもかなり細かい点まで写真でわかったと思いますが、実際にものを見ますと、その異常なまでの細かさとデザインの大胆さには、息をのみます。古代のジュエリーも、それと同じく、作る人間の強烈な思い込みがあったものが、次第に金銭的な面が重視されるようになり、今日の雑貨化につながっていると思います。もっとも古い時代のジュエリーにこもった人間の想いというものが、今では完全に消え果て、こうした古代人の想いや感情を伝えるジュエリーは今では世界中にない、これは残念なことです。
 まあ、私の片思いのようなものですが、多くの人から褒めてもらったことには有り難いと思いました。また、チャンスがあれば、残る作品もどこかに書いてみたいと思っています。ご愛読、有難うございました。

2021年11月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : Ryo Yamaguchi