アコヤの新顔登場

 まあ、いつも思うのだが、真珠業者、中でもアコヤ真珠の業者ほど、いろいろと芸を見せてくれる宝石商はいないだろう。染め、漂白、蛍光素材、果ては花珠に天女だとか、下から強い光線を当ててなんとか効果だとか、今時、大阪は十三のストリップだってあんな照明はやらないよ、あれなら光るに決まっている。
 今回、私が見せられてちょっと驚いたのは、非常に照りが良くてまったくピンク色ではない、業者仲間では無調色と呼んでいるらしいが、これまで業界で使っていた無調色、つまり、あの不気味な青みがかった灰色の真珠ではない。昨今、ほとんどがピンク染めのアコヤを見慣れた目からすると、いわゆる本当の真珠色に最も近い色合いである。もちろん、シミ抜きも漂白も、艶出し加工もされているだろうが、完成したネックレスを見る限り、まったく新しく、私でも食指が動く。おそらく、想像ではあるが、当年ものではなく、越しものの珠を使っていると思われる。目下のところ数は少なく、四国あたりが中心と聞くが、おそらく近い将来には、これがアコヤ真珠の主流になるのではなかろうか。少なくとも、ドピンクの花珠よりは、はるかにマトモであり、真珠らしい真珠だと思う。
 今の所、扱っている業者は単純に無調色と呼んでいるらしいが、ほっておくとまた白天女とか白花珠などと命名して、麗々しく証明書を発行する輩が出てくるかもしれない、今のうちに、新しいブランド名を考えた方がいいだろう。まあ、機会があれば、一見を勧める。

2019年4月9日 | カテゴリー : 真珠 | 投稿者 : Ryo Yamaguchi