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宝石業界で五十年を過ごしておもうこと

このブログの目指すこと

 いきなり私ごとになりますが、今年で業界に入ってから五十八年目を迎えます。いささか草臥れたというか、飽きたというか、最近では昔ほどに宝石あるいは宝石業界のことに、関心が薄れたような気がします。まあそれが当然のことで、やはりどう考えても八十代の宝石商と言うのは醜悪というのか、不気味と言うのか、やはり無理があると思い、今年から順次引退の作業を始めております。

 振り返ってみますと、宝石業界人としての私は非常な幸運に恵まれてきたのではという思いがあります。第一に、業界の中でも一二を争う企業に入れたこと、その中で一族の一人である社長に大変に信頼されたこと、さらには日本を取り巻く経済状況が最高であった1960年代から90年代にかけての、いわゆるバブル期に営業の現役であったこと、その間に、企業としての百周年という、大きな節目を営業に利用できたことなど、どれを取ってもラッキーであったとか言いようがないのです。

 もちろん、すこしですが勉強もしましたし、いろいろな理屈をつけて海外を歩きました。なんと言っても大きいのは、会社の規模がそこそこにありましたので、扱うジュエリーの数や金額、その種類など、他の会社では絶対にない幅の広さがあったことです。実際に資金を使い、ジュエリーを作り、それが売れるか売れ残るかという、明瞭な結論を日々体験できるということは、どんな理屈や勉強よりも、人が買ってくれるジュエリーとは、どういうものかということを実感させてくれました。

 まあ、このように実務を少しずつなりとも離れるに際して、私が50数年の間に覚えたこと、後輩に伝えたいこと、今の業界に対しての不満、あるいは提案などを、まあ老人の冷水とも言われるかと思いますが、暇に任せてしばらく書き綴ってみたい、そして過去に書いた諸々の考えなども、今のみなさんと論議をしてみたいなどというのが、このブログの目的です。いつまで続くのか、保証の限りではありませんが、今の業界をどうしてゆくのかを考える時の一助になればと思っています。まあ、しばらくお付き合いください。

平成30年盛夏
山口遼