最近の旅行から

 さて、私はどこにいるのでしょうか???

 この写真を見てズバリわかった人は、相当な旅行通ですよ。ギリシャ風の彫刻が並ぶ橋の向こう側に聳えるエンタシス風の柱とクーポラを備えた広大な建物、ホワイトハウスにも大英博物館にも似ています。中国人みたいのが歩いていますが、まあ、最近は世界中どこでも中国人がいますから、あまり参考にはならない。

 まあ、久々にびっくりしましたね。これは台湾の台南市にある個人の博物館ですよ。台湾です、西欧ではない。奇美博物館、英語ではCHIMEI  MUSEUMと呼ばれるもので、許文龍というプラスチック産業で巨富を得た人物が創立したものです。新幹線で台南駅についてタクシーで15分ほどでしょうか、タクシーを降りてから、建物の正面まで歩いて15分以上はかかるという、広大なもの、建物の横幅も50メートル以上はあります。

 実は、こうした金持ちが個人的に作った博物館というのは、世界的に見ても結構多くあるのです。宝石関係で有名なのは、リスボンのグルベンキアン、アテネのべナキ、ボルチモアのウオルタース、ワシントンのダンバートンオークスなど、沢山あります。こうした所には一応全部行っているのですが、共通した欠点というか、ありゃと思うところがあります。それは収集品が系統だっていないことです。つまり本人が面白いと思ったものを、めったやたらと集めたということで、見終わってどうなってんのこれという印象が残るのです。

 この奇美博物館もその欠点は免れないかと思います。構成は世界の兵器を集めた兵器庁に始まり、動物の剥製からなる動物庁、楽器を集めた楽器庁、西欧の絵画などを集めた芸術庁など、脈絡がありません。まあ、面白いのは兵器庁と動物庁でしょうか。兵器は、文字通り世界の武器を集めたもので、私の知る限りでは、世界屈指のもの、西欧のものの金属加工の技術などは、ジュエリーにも共通するものがあり、面白いです。動物庁には、ありとあらゆる動物が剥製で並んでいます。象やキリンなど、どうやって剥製にしたのか、唖然とするものが並んでいます。

 まあ台湾という国には、あまり観光資源がありませんし、有名な故宮博物館も、改装されて以後は、年々、内容が落ちてきています。展示物も減って少ないですし、お土産もお粗末、本などの資料も見るべきものはありません。改装前のおどろおどろしいまでの威圧感も全くなく、小役人が建物だけを立派にしたという印象は拭えなくなっています。歴史博物館も改装中で、いつになったら開くのか、不明です。

 まあ、そうした意味では、半日ほどかけて、この博物館を覗くのも、一興かと思いご紹介する次第です。