シエラレオネ産ダイヤモンドの山を見せてくれ

 今のダイヤモンド業界の流行り言葉、どうもサステナブルという言葉のようだが、それ以外には、トレーサビリティという言葉もあるようだ。トレーサビリティ - つまり、トレース出来るということ、ダイヤモンドの氏素性がわかるということのようだ。ダイヤモンドそのものに番号を打ち込むとか、まあ、ダイヤモンドも工業製品になったのかと思う。これがうるさくなったのは、私の記憶で間違いがなければ、映画ブラッド・ダイヤモンドの公開以来のこと。シエラレオネあたりで採掘されているダイヤモンドの売上金が、不正な政府を維持するために使われているという趣旨の映画であったと思う。そうした不正行為を断絶するために、そうした国で採れるダイヤモンドを排除するということだろう。

 まあ、その趣旨には賛成できるが、今日のアフリカ諸国の混迷と混乱は、アメリカでも日本でもなく、かってアフリア全部を植民地にした全て欧州諸国の責任だと思う。あれほどの天然資源を持ちながら、その利益の多くは今日でも欧州諸国に巻き上げられている。デビアスがその典型だが、悪いことをいっぱいしながら、ちょこっとだけいい子ぶりをする、それを喧伝することで、悪いことはしていませんという、ヨーロッパ人得意の偽善の一つがこのトレーサビリティだと思う。

 これによって今世界を流れているダイヤモンドの多くは、トレーサビリティのついたものだということになっているようだが、ちょっと待ってもらいたい。これがワアワアと始まったからと言って、シエラレオネのような国がダイヤモンドの生産をやめたという話は聞いたことがない。世界に流れているダイヤモンドが、全て氏素性が分かったものなら、氏素性のもらえないシエラレオネなどの国が産出したダイヤモンドは、どこにあるのか。どこかの国に山積みになっていなければ、おかしいではないか。ぜひ見せてもらいたいものだと思う。インドなのか、中国かロシアなのか、いやいやロンドンかも。どこでもいいから氏素性の取れないというダイヤモンドの山を見せて欲しい。そうすれば、このトレーサビリティというのも信用できるのだが。どう思いますか????
 

2022年9月12日 | カテゴリー : ジュエリー | 投稿者 : Ryo Yamaguchi