店頭活性化の新しい道 ー 天才女性の作ったB2Bのシステム紹介

この業界にいて、久方ぶりにまともな女性にあったのでご報告まで。サイトを覗いてください。

 今の宝石業界で一番の問題は、お店というものが役に立っていない、つまりお客様がジュエリーを買いたいと思って店に来ることが非常に少ないことにある。小売店でも百貨店でも、それはほとんど同じ、集客設備としての店舗が死んでいることにある。こうした事態になったのには、様々な理由があるが、最大の理由は、お店に行っても、新しい、楽しい、見たことがないと言えるようなジュエリーが無いことだろう。お客様は何か新しいものを求めて店に来るのであって、一部の小売店が錯覚しているような、オヤジか奥さんの顔を見に来るのでは無い。言ってみれば店頭商品の陳腐化である。
 小売店はどのようにして自分の店に置くジュエリーを決めているのだろうか。ほとんどは、出入りの卸商が持ってくるジュエリーの中から、買い取るもの、委託で預かるものを選んでいる。稀に店主みずからが御徒町や甲府に出かけることがあっても、訪ねて行くのは自分が知っている卸商のところだろう。そこで情報交換とは名ばかりのダベリで、昼飯をご馳走になって帰宅する、その過程で見るのは、同じようなすでに扱ったことのあるジュエリーである。新しい業者に会うことすらないのではないか。それで店頭にお客様を驚かせるようなジュエリーが揃うなら世話はない。

 ここで紹介するのはPERIDOTという名前の新しい企業のシステムだ。簡単に言えば、日本中の卸商が持っている在庫をネットに載せ、小売店がそれを見て買取、委託など決めるというシステムである。つまり、御徒町や甲府に行く前に、誰がどんなジュエリーを持っているのかという情報を入手し、現地に行かなくとも商売ができるシステムだ。こう言うシステムは、卸商ごとに存在するものはすでにあるが、多くの企業を一貫してシステム化したものはない。数多くの製造卸が、どんなジュエリーを作り、持っているのか、どんな条件で取引ができるのかを、店にいながらにして分かる。興味のある企業があれば、訪ねていけば良いし、それがちょっと無理というなら、それこそネット上で取引できる。今六千社ほどある小売店と、数百社ある製造卸とを、商品を通じて結びつけることが可能なのだ。こうした作業すらしたくない、問屋が持ってくる商品を並べておいても、大した違いはないと思う小売店は、間違いなく消滅するだけである。私見ではあるが、今後五年ほどで日本の宝石小売店は半減するだろう。残る側に入っている条件は、お客様の興味をひけるだけの商品を揃えられるか否かである。ジュエリーを作り、在庫を持つ側の製造卸も、今まで通りの一緒にメシを食うだけの取引先を相手にしているだけでは、終わりである。

 もっと詳しいことは、PERIDOTのサイトを訪ねてもらいたい。これを作った女性に会えるなら会ってみるのもいいだろう。私がこの十年ほどに出会った人間の中でで、最も聡明な人である。まだ30歳前のとてもそんな大仕事をするようには見えない可愛いカナダ国籍の中国人、徐雪倫、英文名をRoni Xuという。学歴がすごい、なんとオックフォード大学の哲学部修士過程を終えた子で、コンピュータについても天才である。この業界にいると、あまり知能明晰という人に会うことはないが、凄まじく頭の良い人と話すだけでも良い気分になれる。
 
 再度、繰り返して言うが、まともなジュエリーを店頭に集められない宝石店は今後の五年ほどで、半分以下に消滅する。消えない側に残るためには、自分の見聞を広めて、これまでにない優れたジュエリーを揃える以外に道はない。ぜひPERIDOTを訪ねてもらいたい。

 なお、現在このシステムは売り手側を集めている段階で、買い手側、つまり小売店の皆さんがシステムにアプローチできるのは12月1日以降となります。お間違えのないように。

2020年11月4日